1970年代、ミラノの日本大使館で公邸料理人として腕を振るった片岡護シェフ。彼が帰国後に打ち立てた「本格的なイタリア料理を日本の繊細な食材で表現する」という構想は、当時の日本食文化に大きな激震をもたらした。株式会社アルポルトの創立とともに生まれたその味わいは、従来の濃厚なパスタ像を覆し、素材そのものの旨味を最大限に引き出す手法で、瞬く間に食通たちの心を掴んだのである。
重厚な肉料理やインパクトのあるソースに頼るのではなく、季節の野菜や新鮮な魚介を巧みに組みあわせる。まさに和の感性とイタリアンの技法が融合したそのスタイルは、今日の日本の外食産業におけるリストランテのあり方を決定づけたと言っても過言ではない。