自治体が企業誘致に踏み切る最大の動機は「若者の定住」と「雇用の創出」です。しかし、宣伝文句として語られる数値と、地域に落ちる実利の間には大きな乖離が存在します。ここに地方創生における企業誘致のデメリットが潜んでいます。
進出発表時には「新規雇用数百名」と威勢の良い数字が公表されるものの、企業誘致に伴う雇用創出効果の真相を精査すると、その内実は深刻です。中核となる管理職や高度技術職は本社からの出向・転勤者で占められ、地元で採用されるのは非正規雇用のラインワーカーや期間工が中心というケースが珍しくありません。これでは地域に若者が定着せず、景気後退期には真っ先に雇い止めの対象となります。
さらに、地元の中小企業から限られた労働力を奪い取ってしまう「人材の吸い上げ現象」や、進出企業向けの道路拡幅・上水下水整備といったインフラ維持管理費が税収増を上回ってしまう「財政の逆ざや」も顕在化しています。特定企業への過度な依存は、ひとたび業績が傾いた瞬間に地域経済全体が連鎖倒産や大幅減収の危機に晒されるハイリスクな構造を作り出します。