揺れが到達する前のわずか数秒から数十秒。この極小の猶予時間を生み出すのが、気象庁の緊急地震速報(EEW)だ。P波(初期微動)を瞬時に捉えて主要動(S波)の到達時刻と震度を予測するアルゴリズムは、観測網の稠密化と処理速度の向上によって精度を研ぎ澄ませてきた。
手元のスマートフォンで鳴り響く「Yahoo! 防災速報」などのプッシュ通知を受信した瞬間、人間の脳は数秒間フリーズしやすい。だが、その最初の数秒で何をするかが運命を決める。火を消しに行こうとするのは誤りだ。頭部を保護し、姿勢を低くして家具から離れる「シェイクアウト行動」を身体に叩き込んでおく必要がある。デジタルがもたらす猶予時間を、確実な生存行動へ変換する訓練が日常から求められている。