巨大な地震が発生した際、遠く離れた都市部の大地を駆け抜ける波がある。「長周期地震動」と呼ばれるこの現象こそ、高層建築物を激しく揺さぶる犯人だ。震源から数百キロメートル離れていても、地盤の柔らかい平野部では波が減衰せず、ゆっくりとした周期の長い揺れが何分間も持続する。
建築物にはそれぞれ固有の振動周期が存在する。高さ数十メートルから数百メートルに及ぶタワーマンションやオフィスビルは、固有周期が数秒と非常に長いため、長周期地震動の波長と共振を起こしやすい。共振が始まると、建物自体が巨大なメトロノームのように左右へ増幅揺れを起こす。外壁が軋む不気味な音、天井から吊り下げられた照明の大きな揺れ、そして床が逃げていくような浮遊感。2026年現在の構造解析によれば、高層階での揺れの幅は地上数センチに対して数十センチから数メートルに達することもある。