130kg台前半の小兵力士が幕内上位で激闘を繰り広げる代償として、常に付きまとうのが怪我のリスクです。翔猿もこれまでに、激しい立ち合いによる首の痛みや肩の関節の負傷、足首の捻挫など、数多くの故障と向き合ってきました。
相撲ファンの間では「翔猿の休場理由」について心配する声が上がることがありますが、翔猿の強さは徹底した怪我の予防策と自己管理能力の高さにあります。追手風部屋の充実した稽古環境に加え、体幹トレーニングや股関節の可動域を広げる柔軟体操を毎日欠かさず行い、大型力士の強烈な突っ張りやぶちかましを直接受け止めずに「いなす」技術を極めてきました。
手記や専門誌のインタビューで翔猿自身が語っているように、「体が小さい自分が怪我を恐れて立ち合いで引いてしまっては、相手の思う壺になる。前に出る圧力を保ちながら、いかに衝撃を分散させるか」という緻密な計算が土俵上で実践されています。30代を迎えても大きな長期休場を極力避け、コンスタントに勝ち越しを狙えるコンディションを保ち続けている点は、プロアスリートとして極めて高い評価に値します。