愛猫の瞳に映る世界とは?広角200度と壁を見つめる本当の理由の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点でまとめました。

人間と猫の視覚体験を隔てる決定的な要素のひとつが視野角だ。人間の視野がおよそ180度であるのに対し、猫の視野は約200度におよぶ。左右の側面に張り出した眼球の配置が、背後に迫る捕食者の気配や視界の端を横切る獲物の影を瞬時に捉える広角パノラマを生み出している。

一方で、色彩の世界は人間よりもずっと控えめだ。人間が赤・緑・青の三原色を感知する三色型色覚を持つのに対し、猫は色覚異常・二色型色覚に近い知覚特性を持つ。彼らの網膜には赤色を捉える錐体細胞がほとんど存在しない。そのため、鮮やかな赤やピンクはくすんだグレーや茶色に見え、世界は青や黄、淡い緑が溶け合うノスタルジックなパステル調として知覚されている。

この特異な見え方を画像として可視化し、世界中で大きな反響を呼んだのがアーティスト兼研究者のニコライ・ラム氏だ。ナショナル ジオグラフィックをはじめとする主要メディアでも紹介された彼のシミュレーション画像は、猫が豊かな色彩を犠牲にする代わりに、広範囲の動体感知能力を極限まで研ぎ澄ませてきた進化の道筋を雄弁に物語っている。