なぜ旧統一教会は、他者の最もプライベートな領域である夫婦の営みにまで教団の規範を介在させるのか。その根幹には、文鮮明と韓鶴子が構築した「血統転換」という独自の教理構造が存在する。教説によれば、人類の始祖エバが蛇(サタン)と不倫関係を持ったことで不潔な血統が世界に広がったとされる。これを正すため、教祖夫妻という「真の父母」を通じて与えられる血統を受け継がねばならないとされるのだ。
祝福を受けたカップルは、指定された作法に従い性のプロセスを完遂することで、初めてサタンの血統から神の血統へと切り替わると教え込まれる。個人の自由意志や個人的な感情は二の次とされ、教団への絶対的帰依が性的関係の成立条件とされる歪んだ構造がそこには存在する。