井上貴子のキャリアを語る上で欠かせないのが、同姓であり同期でもある井上京子とのライバル関係だ。ファイトスタイルも体格も対照的な二人の「W井上」は、タッグを組めば抜群のコンビネーションを発揮し、対角線に立てば互いの意地を剥き出しにした壮絶な名勝負を繰り広げた。二人の激闘は、団体の枠を超えて女子プロレス史に刻まれる黄金カードとなった。
全女を離脱した後は、神取忍が率いるLLPW(現・LLPW-X)へと戦いの場を移す。ミスター女子プロレスと称された神取の無骨でストロングな世界観に、井上貴子の華やかさと鋭いインサイドワークが融合。二人は時に激しく衝突し、時にタッグを組んで団体を牽引した。
新たな団体でも彼女の存在感は色あせるどころか、円熟味を増してさらに強固なものとなっていく。荒波を乗り越えながら団体を支え続けるリーダーシップを発揮し、後輩レスラーたちの指標としても大きな役割を果たした。