かつて人々は、空中に現れる謎の都市を悪魔の仕業や不吉な前兆として恐れていた。その謎に物理学の光を当てた人物こそ、18世紀末にナポレオンのエジプト遠征へと同行したフランスの数学者・物理学者ガスパール・モンジュだ。極熱の砂漠を進む兵士たちを悩ませた「幻の湖」の正体を、彼は地表付近の熱気による光の屈折であると見抜き、見事に科学的説明を与えた。
モンジュが残した緻密な考察は、その後の大気物理学や大気光学の基礎を築く大きな足がかりとなった。普段私たちが何気なく眺める空の現象の裏側には、何世紀にもわたって知識を紡いできた先人たちの探究心が息づいている。