競馬の税金を巡る議論で必ず登場するのが「外れ馬券は経費として認められるか」という問題だ。この概念を根底から覆したのが、世間を揺るがした「外れ馬券経費訴訟」である。市販の競馬予想ソフトを独自に改良し、インターネット経由で網羅的かつ大量に馬券を購入して数億円の利益を上げた元会社員・卍氏が、多額の追徴課税処分を不服として戦った裁判だ。
この裁判で卍氏側の代理人を務めた甲斐野正和弁護士らは、長年にわたり持続的・機械的・機械大量購入を行っていた実態を立証。最高裁判所は最終的に、卍氏の馬券購入を「営利を目的とする継続的行為」と認め、外れ馬券の購入費用を経費と認める画期的な判決を下した。しかし、注意しなければならない。これはあくまで「私設の自動売買プログラム等を用い、年間数千万円以上の馬券を機械的に買い続けた極めて特殊なケース」に限られるという点だ。週末に新聞を広げて予想を楽しむ一般的なファンには、この最高裁判決のロジックは適用されない。