「打てる捕手」という肩書きは響きが良いが、その裏には常人には理解できないほどの葛藤があった。捕手としての守備位置での頭脳戦、そして打席に入った際の一人の打者としての集中力。この二つを高いレベルで両立させることは、肉体的にも精神的にも限界を極める作業だ。
毎日のように繰り返されるピッチャーとのミーティング、相手打線のデータ分析、そして試合後の反省会。それに加えて、クリーンアップとしての打撃練習。睡眠時間を削り、ボロボロになりながらもグラウンドに立ち続けた。彼が残した輝かしい打撃成績は、天性の才能だけでなく、こうした狂気じみた努力の賜物だった。