失踪事案の発生時、初動捜査にあたる京都府警察の現場ではどのような壁が立ちはだかっているのか。警察関係の内部記録や捜査の経緯を辿ると、ある共通したパターンが見えてくる。それは「繁華街を出た直後、痕跡が完全に消失する」という異常なまでの情報途絶である。
スマートフォン決済の利用履歴、交通系ICカードのタッチログ、駅周辺の監視カメラ。現代の都市捜査を支えるデジタルフットプリントが、ある特定の境界線を越えた瞬間、ぷつりと途切れる。事件性の有無が判然としない段階では強制捜査の令状請求もままならず、公開捜査に踏み切るまでのタイムラグが「空白の初期初動」を生んでしまう構造的ジレンマが存在している。