なぜ京都において失踪事案が特異な注目を集めるのか。取材班が入手した最新データと現地の地形図を照らし合わせると、極めて明確な「地理的要因」が浮かび上がってくる。京都市は東山、北山、西山の三方を険しい山に囲まれた盆地構造を持つ。市街地の中心部からわずか数十分歩くだけで、外灯すらまばらな深い山林へと迷い込める環境が日常のすぐ隣に口を開けている。
鴨川の河川敷や入り組んだ辻子(図子)、路地(ろじ)の存在も見過ごせない。中世から続く複雑な町割りは、外部からの視界を遮る天然の迷宮として機能する。日中は国内外からの旅行者で溢れかえりながら、夜になれば人通りが途絶える寺社仏閣の境内や竹林。防犯カメラの密度が極端に落ちるエリアが都市機能のすぐ隣に同居している事実が、足取りの追跡を困難にしている最大の要因だ。