事件の最重要人物として浮上したのが、別居中だった外国人父親だ。夫婦間の葛藤は深く、離婚協議の過程で子どもの養育権を巡り激しい対立が続いていたという。失踪と時を同じくして、この父親の日本国内での足取りも完全に途絶えている。
日本の警察機構は、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配の手続きを進めているとされるが、現実は甘くない。容疑者の母国との間に犯罪人引き渡し条約が結ばれていない場合、身柄確保や日本への強制送還は極めて困難な壁にぶつかる。実の親であっても許可なく子どもを連れ去る行為は、日本法では未成年者略取罪に該当するが、相手国の法体系によっては親権の行使と見なされ、処罰の対象にならないケースさえあるのだ。