都市のエネルギーが頂点に達した室町・安土桃山時代、洛中と洛外の境界は絵画の格好のモチーフとなった。その頂点に立つのが、天才絵師・狩野永徳が筆を執った国宝『洛中洛外図屏風』(上杉本)だ。金雲の合間から覗くのは、活気あふれる町衆の暮らし、壮麗な邸宅、そして季節を彩る祭り。京都国立博物館をはじめとする研究機関では、屏風に描き込まれた数千人もの人物描写から当時の都市構造を復元する作業が続けられている。
近年では、Google Arts & Cultureなどのデジタルアーカイブ技術により、世界中の誰もが高解像度で屏風の細部を鑑賞できるようになった。画面の中央を横切る雲の配置や視点の操作を分析すると、当時の絵師たちが「洛中」という特権的空間と「洛外」の牧歌的風景をいかに意識的に対比させていたかが浮き彫りになる。