データが一度消去されたとしても、物理メモリ上に書き込まれた磁気情報やフラッシュメモリの残留電荷までは完全に消し去ることはできない。警察庁の専門部局から派遣されたデジタル鑑識・フォレンジックのスペシャリストたちによって組織された「ドライブレコーダー解析捜査プロジェクト」が、今回のデータ復元において決定的な役割を果たした。
解析チームは破損したファイルシステムを修復し、断片化していたクラスタを再構成する高度なサルベージ技術を投入。その結果、消去コマンドが実行された正確な時刻と、端末の設定変更履歴が克明に暴かれた。さらに、車両の加速度センサー(Gセンサー)が検知していた微小な振動パターンから、トランクの開閉やドアの施錠・解錠が行われたタイミングまでもが秒単位で特定された。客観的なデジタル証拠の積み上げが、あやふやな証言の壁を打ち破りつつある。