上津屋橋が初めて架橋されたのは、戦後復興期の1953年(昭和28年)3月のことでした。当時、八幡市側と城陽市側の住民は渡し船で行き来していましたが、農作業や通学の利便性を高めるため、両岸の住民が協力して木造の仮橋を架けたことが歴史の由来です。巨額の工費がかかる永久橋の建設が財政的に難しかった時代、知恵を絞って生み出された生活路でした。
電柱や近代的なガードレールが一切視界に入らない木造橋と、周囲に広がる茶畑や広大な河川敷の景観は、昭和から平成にかけて映画・テレビ業界から絶大な注目を集めました。とりわけ『暴れん坊将軍』をはじめ、『必殺仕事人』『水戸黄門』『銭形平次』など、日本を代表する時代劇の旅立ちのシーンや決闘の舞台として幾度となくスクリーンに登場しています。
現在でも、木津川の穏やかな水面に映える木造橋のシルエットは、訪れる人々に江戸時代へタイムスリップしたかのような錯覚を与える貴重な文化的景観として評価されています。