京大を震撼させた国家の言論弾圧、滝川事件の闇と現代への警鐘

京大を震撼させた国家の言論弾圧、滝川事件の闇と現代への警鐘

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対立の渦中に立たされたのが、刑法学者・滝川幸辰教授である。滝川が提唱した刑法理論は、犯罪を個人の道義的責任のみに帰すのではなく、貧困や失業といった社会構造の歪みにも目を向ける客観主義的・人道的な視座を備えていた。しかし、国家絶対主義へと舵を切り始めていた体制側にとって、社会の欠陥を突くその論理は体制を揺るがす「赤化思想」「危険思想」として映った。

この動きを急先鋒となって主導したのが、当時の文部省を率いていた文部大臣・鳩山一郎である。鳩山は帝国議会での右派勢力からの突き上げを奇貨とし、滝川の著書『刑法講義』『刑法読本』の発売禁止処分に踏み切った。さらに大学側の意向を完全に無視して滝川の休職処分を強行する。学問の独立性を盾に抵抗する研究者と、法解釈の独占を謀る政治権力との全面衝突は、こうして避けられないものとなった。

鈴木 陽菜
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鈴木 陽菜

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