規制が強化されて以降、京大生たちは単なるデモや反発にとどまらず、持ち前の知性とユーモアを駆使した「知的ゲリラ戦」を展開しました。撤去されるたびに新たなアイデアで対抗する姿は、SNSを通じて全国的な話題を集めました。
代表的な対抗策として生まれたのが、看板に足を付けず人間が自ら支え続ける「人間タテカン」や、車輪を取り付けて「移動体であるため設置物ではない」と主張する移動式看板です。さらには、石垣の上にこたつを設置して学生が居座る「こたつタテカン」、顕微鏡を使わなければ読めない「1ミリサイズの極小タテカン」など、屁理屈と風刺を極限まで突き詰めた作品が次々と出現しました。
こうした風刺の精神は、入試シーズンの名物である「折田先生像」の歴史とも深く結びついています。京都大学の前身である第三高等学校の初代校長・折田彦市氏の銅像を巡り、かつて過激派によって落書きやいたずらが繰り返された後、台座だけが残された空間に毎年異なるキャラクター(アニメキャラや実在の著名人)のハリボテ像を建てる文化が定着しました。タテカンと折田先生像は、京大における「権威への脱構築」を象徴する双璧のアイコンです。
2026年代に入ると、このタテカン文化は商業的なポップカルチャーとしても昇華されます。代表的な歴代看板をミニチュア化した「京都大学 立て看板 ガチャ」が商品化され、キャンパス周辺のカプセルトイ自販機やネット通販で即完売を記録。「タテカンを撤去した大学が、タテカンの知名度で消費される皮肉」も含めて、京大らしいアイロニーとして受け止められました。