パトロールや職務質問への急行など、公務に従事する警察官が自転車で事故を起こした場合、損害賠償責任の所在は国家賠償法第1条第1項に基づいて判断されます。公権力の行使や公務の遂行中に生じた損害について、原則として警察官個人が直接の民事賠償責任を負うことはなく、当該警察官が所属する「都道府県(警察本部)」が賠償義務者となります。
過失割合の算定においては、警察官だからといって特別な優遇措置が取られることはありません。過去の裁判例や実務慣行においても、別冊判例タイムズ等の一般的な「民事交通訴訟における過失相殺率の基準」が適用されます。ただし、警察官は高度な交通安全知識と規範意識を持つべき職責にあるため、状況によっては重過失や注意義務違反が厳格に認定される傾向があります。
特に自転車に対する交通違反の取り締まり(反則金制度・青切符)が本格運用されている現在、警察官自身の運転マナーに対する司法的・社会的な評価はかつてないほど厳格化しています。公務中であっても赤色灯やサイレンを持たない一般の警察自転車(白チャリなど)は緊急車両の特例を受けられないため、法的には一般の軽車両と完全に同等の義務を負います。