森八の名を全国に知らしめる最大の銘菓が、新潟県長岡市・大和屋の「越乃雪」、島根県松江市・風流堂の「山川」と並び、「日本三名菓」の筆頭に挙げられる「長生殿(ちょうせいでん)」です。
長生殿が他の落雁と決定的に一線を画す理由は、原材料への徹底したこだわりと門外不出の製法にあります。主原料には、四国・徳島県産の最高級「阿波和三盆糖」と、北陸の厳選されたもち米粉(新粉)のみを使用。つなぎの水分調整から乾燥温度の管理に至るまで、熟練の菓子職人による手作業の技が注ぎ込まれています。
口に含むと、従来の落雁のイメージを覆すほどキメ細やかにほどけ、和三盆糖特有の上品な甘みとほのかな香ばしさが口いっぱいに広がります。表面に刻まれた「長生殿」の文字は、加賀藩主・前田利常公の命により、江戸初期の当代一流の茶人・小堀遠州が揮毫(きごう)したもの。約400年間変わらぬ木型を用いて打ち出される端正な姿は、まさに食べる芸術品です。