長町エリアの散策において、まず訪れるべき核心部が「武家屋敷跡野村家」と「旧加賀藩士高田家跡」です。それぞれ異なる階層の武士の暮らしぶりを伝えており、対比して見学することで歴史の解像度が格段に上がります。
前田家の重臣であった野村伝兵衛信貞の屋敷跡である武家屋敷跡野村家は、米国の日本庭園専門誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング(Sukiya Living Magazine)』のランキングにおいて、全国数千カ所の中から常にトップクラスに選出されています。濡れ縁のすぐ足元まで配された曲水、樹齢数百年の古木、大理石の灯籠が織りなす立体的な庭園構造は、室内から眺めた際に一幅の絵画として完成するように計算し尽くされています。2階の茶室「不莫庵」から見下ろす庭園の情景も格別です。
一方、中級武士の屋敷構えを今に伝えるのが旧加賀藩士高田家跡です。堂々たる長屋門をくぐると、往時の門番部屋や厩(うまや)が復元されており、武士の日常的な職務や生活実態を無料で学ぶことができます。手入れの行き届いた池泉回遊式庭園も開放されており、静かに思索を深めるのに最適な空間となっています。