富士山と気象観測の歴史を語る上で外せないのが、かつて山頂で過酷な気象観測を担い続けた富士山測候所の存在だ。台風の監視砦として日本の気象予報を支えたこの施設は、自動化された現在も、学術研究機関によって大気汚染物質の長距離輸送や温室効果ガスの観測拠点として機能し続けている。
標高の高い独立峰である富士山頂は、地表の摩擦や人工熱の影響を受けない自由大気層に位置する。ここで得られる清浄な大気データや気圧変化の知見は、富士山周辺の雲生成メカニズムを解明するための基礎として、今なお気象予報モデルの精度向上に寄与している。