実務の現場で最も失敗が多いのが、書籍や品物に添える「短冊(謹呈札)」や送付状の扱いだ。書籍を贈る際、表紙を開いた扉の部分に「謹呈 〇〇様 著者」と印字された細長い紙(謹呈スリップ)を挟み込む慣習があるが、この位置や書き方にも厳密な作法が存在する。
よくある落とし穴が、二重敬語や過剰な謙譲表現による文面の崩壊だ。送付状に「謹呈させていただきます」と書くと、二重の敬意表現となり、スマートな文章とは言えなくなる。文化庁が公表している敬語の指針に照らし合わせても、シンプルに「謹呈いたします」あるいは「ご笑納いただければ幸いに存じます」と添えるのが、最も洗練されたビジネス文書の佇まいとなる。
また、謹呈された側のお礼のマナーも重要だ。謹呈本や記念品を受け取った場合は、到着から遅くとも3日以内にハガキやメール、あるいは手紙でお礼状を送るのが基本だ。本であれば全ページを読み切る前であっても、まずは無事に届いた旨と感謝の言葉を早急に伝えることが、寄贈・贈呈の文化における洗練されたマナーとされる。