150年以上の歴史を遡ると、近代郵便制度の立ち上げに奔走した前島密の知恵が見えてくる。当時の明治政府には、全国一律の郵便網を整備するための膨大な資金も人員も不足していた。そこで各地の資産家や名士に頼み込み、無給同ぜんの条件で局長を引き受けてもらい、自費で局舎を建てさせたのだ。これが制度の原点である。
この仕組みは国にとって極めて都合が良かった。初期投資をほとんどかけずに、またたく間に全国を覆う通信ネットワークを構築できたからだ。その代償として、局長職は地元の名士階級による事実上の世襲制となり、地域社会における強い影響力と独自の結束力が醸成されていった。