アメリカのストリートギャング史を語る上で欠かせないのが、西海岸を起点に全米へ広がった二大巨大勢力、クリップスとブラッズの存在だ。青をシンボルカラーとするクリップスは、指で「C」の文字を作るハンドサインをアイデンティティとする。一方、赤を身に纏うブラッズは、「B」の形を指で複雑に模形化し、対抗意識を露わにしてきた。
両者の抗争は数十年間にわたり、多くの若者の命を呑み込んできた。相手のサインを目の前で折り曲げて破壊する仕草を見せる「サイン・スタッキング」や、逆さに見せる挑発行為は、ストリートでは宣戦布告と同義である。言葉による対話が存在しない世界で、指先の手話は最も純粋で最も残虐な意思表示なのだ。