世界中で絶賛を浴びた『君たちはどう生きるか』の公開後、世間はこれを宮﨑駿の「集大成」であり「最後の長編」だと受け止めた。しかし、鈴木の証言はその見立てをあっさりと覆す。
「周囲が勝手に幕を引こうとするけれど、本人は引退なんて一言も口にしていない。机に座ってイメージボードを描き殴っている姿は、40年前と何も変わらないんです」
現在、スタジオの一角では宮﨑による新たな短編、あるいは中編とも呼ぶべきプロットのスケッチが静かに進行している。鈴木は日々の雑談のなかで、その断片を拾い上げては吟味を繰り返しているという。「次はもっと個人的で、もっとわけのわからないものになるかもしれない」。鈴木の口ぶりは、新たな冒険を前にした子どものように軽やかだ。