学校教育の現場で長年使われてきた用語に、いま大きな地殻変動が起きている。日本古代史・考古学の専門分科会や文化庁の報告書では、「住居」という限定的な表現を改め、「竪穴建物」と表記するケースが標準になりつつある。
理由は極めて合理的だ。発掘される遺構のすべてが居住用だったわけではない。工房、貯蔵庫、集会所、あるいは季節限定の作業小屋として使われた痕跡が次々と特定されているからだ。生活の場を一括りに「住居」と決めつけるのではなく、多目的な建築物群としてフラットに捉え直す視点。この厳密なアプローチこそが、古代社会の複雑な分業体制を解き明かす鍵となっている。