1994年にユネスコ世界遺産「古都京都の文化財」の構成資産として登録された鳳凰堂は、たゆまぬ保存の努力によって今に伝えられている。文化庁の指導のもとで行われた平成の大修理では、屋根瓦の葺き替えや柱の丹土(につち)塗り直しが行われ、創建当時の鮮やかな朱色と落ち着いた古色が絶妙に調和する姿が蘇った。
現在も進む文化財保護・修復事業では、3次元計測や非破壊成分分析といった最新テクノロジーが導入されている。境内のミュージアム「鳳翔館」では、かつて屋根に掲げられていた初代の国宝・鳳凰一対や、保存のために堂内から移された雲中供養菩薩像が、湿度と照明が厳密に管理された空間で間近に公開されている。古典的な手仕事と現代科学の融合が、千年の至宝を未来へと繋いでいる。