「竪穴の内部は煙で息ができなかったのではないか」という長年の疑問にも、明快な答えが出ている。国立歴史民俗博物館をはじめとする研究機関が行った実物大の燃焼実験により、屋根勾配と頂部の排煙口が計算された空気の対流(ドラフト効果)を生み出していたことが判明した。
煙は床上1メートル以上の空間に自然と滞留し、居住空間である床付近にはクリーンな空気が滞留する。それだけではない。屋根裏に立ち込める煙に含まれるススやタールは、茅や木材をコーティングして防腐・防虫効果を発揮し、建物の寿命を飛躍的に延ばしていた。有害と見なされがちな煙すらも、耐久材として使いこなす。捨てるところのない循環型の知恵がそこにあった。