過去のインタビューや対談において、鎌田敏夫は自身の脚本術や人間観について数多くの名言を残しています。彼が常に語っていたのは、「ストーリーよりも人間が先にある」という徹底したキャラクター至上主義です。
「プロットをガチガチに決めて人物を動かすのではなく、魅力的な人間を作れば、その人物たちが勝手に喋り出し、勝手に物語を動かしていく」と述べる通り、登場人物の生きた台詞へのこだわりは人一倍強いものでした。また、「人間は誰もがかっこ悪くて、ずるくて、寂しい。その弱さを愛せるかどうかがドラマの命」という言葉は、多くの後輩脚本家たちの指針となっています。
派手な事件が起きなくても、人と人との距離感や言葉の裏に隠された本音をすくい取る姿勢こそが、長年にわたって視聴者の心を掴み続けた最大の秘訣でした。