屋内に現れる微小なアリを「ただの黒アリ」と一括りにするのは危険です。種類によっては人体への直接被害や、家財・建材への損害を引き起こす個体が存在します。
特に注意すべきがヒメアリの噛む危険性です。体長約1.5ミリの淡黄色をしたヒメアリは、寝室やソファに侵入し、睡眠中の人間の皮膚を刺咬することがあります。毒針で刺されると蚊に刺されたような強い痒みや発赤を生じ、アレルギー体質の乳幼児では水疱化して皮膚炎を重症化させる恐れがあります。また、乾燥した環境を好むイエヒメアリは、ひとつの巣に数百匹の産卵可能な女王アリが存在する「多女王性」を持ち、室内の壁内空隙や畳の裏に巨大な巣網を構築します。
さらに、初夏や雨上がりの湿潤な夕暮れ時に羽を持つ個体を発見した場合は、家屋の構造を脅かすシロアリとの識別が不可欠です。黒アリとシロアリは生物分類上全く異なる昆虫(黒アリはハチ目、シロアリはゴキブリ目)であり、形態に明確な違いが現れます。
黒アリの羽アリは「くびれた細い腰」「前羽が後ろ羽より大きい」「折れ曲がった触角」という特徴を持ちますが、シロアリは「寸胴な胴体」「前後同じ大きさの羽」「数珠状のまっすぐな触角」をしています。もし羽がポロポロと脱落した寸胴の昆虫を発見した場合は、クロアリ駆除ではなくシロアリ防除の緊急対応に切り替えなければなりません。