なぜこうした悪質な通信が野放しになっているのか。現地当局も手をこまねいているわけではない。中華人民共和国工業情報化部 (MIIT)は通信キャリアに対する本人確認の厳格化を進め、中国電信 (China Telecom)をはじめとする大手プロバイダも不正な番号の検疫や遮断アルゴリズムを強化している。
しかし、犯罪組織は規制の緩い東南アジアの拠点を中継地として利用し、国境を跨ぐ国際電気通信事業のルーティングを複雑化させて追跡を逃れている。数千枚のSIMカードを一括制御する「SIMボックス」と呼ばれるハードウェアを駆使し、自動プログラムで1分間に数万件のコールを放つ。通信網の監視の目をかいくぐる地下インフラの存在が、撲滅を困難にしている背景だ。