歴史上、伊藤博文と山県有朋は近代日本の礎を築いた両輪だった。華やかな外交と大局観で国を引っ張った伊藤と、組織を固め内政と軍制を整備した山県。二人は時に激しく対立しながらも、国家のために不可欠なパートナーであり続けた。
この関係性は、まさに安倍晋三と菅義偉の関係そのものと重なる。外交の舞台で存在感を示し、国民的な人気を背負って旗を振る安倍。その足元で霞が関を掌握し、危機管理と政策の実行部隊として泥をかぶり続けた菅。伊藤の非業の死に直面した山県の慟哭を、菅は自らの胸中に重ね合わせていた。歴史の糸を手繰り寄せるように紡がれた言葉だからこそ、その響きは時代を超えた普遍的な説得力を持ったのである。