近年、スポーツ科学と予防医学の融合は目覚ましいスピードで進化を遂げている。厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」の重点目標においても、身体活動を通じた生活習慣病の一次予防が最重要課題として掲げられている。運動がもたらす恩恵は、身体的な数値改善にとどまらない。脳内の神経可塑性を促すBDNF(脳由来神経栄養因子)の分泌を活性化させ、抑うつ気分の改善や認知機能の維持に直結することが明らかになった。
身体を動かす爽快感はドーパミンやセロトニンの分泌を促し、孤独感の解消や主観的幸福感の底上げをもたらす。現代社会が目指すべき包括的な豊かさであるウェルビーイングの基盤は、健やかな身体と弾力性のあるメンタルによって支えられている。予防医学の見地からも、運動習慣は副作用のない万能の処方箋として臨床現場で積極的な活用が進む。