加齢黄斑変性は、その病態生理から「滲出型(新血管型)」と「萎縮型」の2種類に大別されます。両者は進行速度、治療法、予後において対極的な特徴を持っています。
発症の基盤には、加齢に伴って網膜色素上皮(RPE)とブルッフ膜の間に沈着する「ドルーゼン」と呼ばれる細胞の老廃物があります。ドルーゼンの蓄積によって慢性的な炎症や低酸素状態が引き起こされると、網膜の外側にある脈絡膜から「脈絡膜新生血管」と呼ばれる異常かつ脆い血管が網膜側へと異常増殖してきます。この新生血管が破綻して血液や滲出液を撒き散らすタイプが滲出型です。
一方、新生血管は発生しないものの、黄斑部の網膜色素上皮細胞や視細胞そのものが加齢とともに徐々にやせ細り、機能を停止していくタイプが萎縮型です。
日本人の加齢黄斑変性の約9割を占める滲出型において、特に注意すべきは「ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)」と呼ばれる亜型です。脈絡膜新生血管の先端にコブ状のポリープが形成され、大量出血(黄斑下血腫)を引き起こしやすい特徴があり、アジア人男性に極めて多いことが知られています。激しい出血が起これば、一夜にして視力が0.01以下に暗転することもあるため、迅速な画像診断と抗VEGF治療の即時導入が命運を分けます。