SNSや健康相談プラットフォーム(知恵袋、コミュニティ掲示板等)の投稿を分析すると、頬骨下の痛みを訴える人々の多くが、深刻な病態を見落としたまま長期間放置している実態が浮き彫りになります。
都内のIT企業に勤務する30代女性は、当時の経過を次のように証言しています。
「パソコン作業が長いため、最初は単なる眼精疲労や顔のむくみだと思っていました。YouTubeの小顔マッサージ動画を見ながら、頬骨の下のくぼみを美顔ローラーや指の関節でゴリゴリと強く押し込んでいたんです。ところが数日経つと、右の頬骨の下がズキズキと激しく痛み出し、微熱とともに右の鼻の奥から生ゴミのような異臭が漂うようになりました。慌てて耳鼻科に駆け込んだところ、急性上顎洞炎と診断され、医師から『炎症を起こしている空洞を外から力任せに圧迫して、内部の組織をさらに傷めつけていた』と厳重に注意されました」(取材に基づく体験談より)
また、50代男性のケースでは、さらに深刻な神経障害性疼痛の兆候を見逃していました。
「髭剃りの最中に左の頬骨の下に刃が触れた瞬間、パチッと火花が散るような電撃痛が走りました。歯痛かと思って一般歯科を受診しましたが『虫歯はない』と言われ、湿布を貼って我慢していたところ、冷たい風が頬に当たるだけで食事も喉を通らないほどの激痛に発展しました。最終的に大学病院の脳神経外科で三叉神経痛と判明し、血管が神経を圧迫していることが分かりました。もっと早く専門外来に行っていれば、数か月におよぶ耐え難い苦痛を味わわずに済んだと後悔しています」
医療現場の耳鼻咽喉科専門医や歯科口腔外科医が口を揃えるのは、「痛む場所を直接強く押す行為の危険性」です。特に副鼻腔内に膿が充満している状態で外圧を加えると、炎症性の分泌物が鼻腔外の組織や眼窩周囲へと悪影響を及ぼすリスクすら生じます。「痛気持ちいいから」という感覚だけで安易な刺激を繰り返す行為は、百害あって一利なしと言わざるを得ません。