「緑の地獄」と呼ばれるノルドシュライフェ。天候が急変し、路面が激しくうねる過酷な舞台で、彼は自らステアリングを握り幾度も戦ってきた。ニュルブルクリンク24時間レースへの参戦経験は、彼の批評スタイルを決定づける揺るぎない土台だ。
時速200キロを超える超高速域で縁石を跨ぎ、マシンが宙に浮くような瞬間、シャシーがどう撓み、電子制御がどうドライバーを救うのか。モータースポーツの極限状態でしか得られない体感値があるからこそ、市販車の試乗評価においても、限界域での挙動変化やブレーキの剛性感といった微細なサインを決して見逃さない。レーシングドライバーの身体知と、工学的な論理思考の融合。それこそが、他の追随を許さない鋭利な分析の源泉なのだ。