このブームの原点であり、聖地として名高いのが吉祥寺の井の頭公園に隣接する専門店「chai break(チャイブレイク)」だ。店内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのはズラリと並んだ片手鍋と、惜しみなく投入される新鮮な茶葉である。ここでは作り置きのチャイは一切提供されない。
オーダーごとに鍋を取り、旬のアッサム茶葉をしっかりとした火加減で煮出す。茶葉が開いた絶妙なタイミングでミルクを加え、再び沸騰させる。仕上げに、高所から落とすようにしてピッチャーへ移し替える作業は、単なる演出ではなく、ミルクと紅茶にしっかりと空気を混ぜ合わせ、口当たりをどこまでも滑らかにするための必至の工程だ。杯を重ねるごとに表情を変えるコクと香りの層は、職人の確かな経験値なしには成り立たない。