振り返れば、彼女のブレイクスルーとなった『カルテット』での怪演は、世間に強烈なインパクトを残した。「目が笑っていない」魔性の女を演じきった表現力は、単なる清純派の枠組みを軽々と粉砕した。
その後も主演・助演を問わずオファーが殺到。特に世界的ヒットを記録した本格サスペンスドラマ『ガンニバル』では、極限状態に追い詰められる家族の苦悩をリアルに体現し、国内外の批評家から絶賛を浴びた。だが、この圧倒的な多忙さこそが、私生活の時間を削り取ってきた最大の要因でもあった。
休む間もなく続く台本の読み込みと地方ロケ。役柄に入り込むストイックな姿勢は、生半可な交際を許さない。仕事に全てを捧げてきた20代を経て、30代を迎えた彼女が「人間・吉岡里帆」としての時間を希求し始めるのは極めて自然な流れだ。