極悪同盟の歴史を語るうえで欠かせないのが、長与千種とライオネス飛鳥によるスーパーアイドルタッグ「クラッシュ・ギャルズ」との抗争です。日本武道館や大阪城ホールを満員にし、後楽園ホール周辺には入場できない女子中高生が溢れ返る社会現象となりました。
リング上では竹刀で滅多打ちにし、フォークで額を突き刺す凄惨な流血戦を繰り広げていた両陣営ですが、リングを降りたバックステージでは全く異なる光景が広がっていました。ダンプ松本、クレーン・ユウ、長与千種、ライオネス飛鳥は、いずれも1980年入門の全女同期生です。
入門直後の極貧生活や厳しい上下関係をともに乗り越えてきた彼女たちの絆は強固でした。巡業中のバスや宿舎では、互いの体調を気遣い、怪我のケアをし合う親密な間柄でした。しかし、ひとたびファンの前に出れば一切の妥協を排し、本気で殺し合うかのような殺伐とした空間を作り上げました。「千種を本気で輝かせるためには、自分が日本一憎まれる悪魔にならなければならない」というダンプ松本の冷徹なプロ意識が、あの熱狂を生み出していたのです。