東京証券取引所を傘下に収める日本取引所グループのデータセンター内では、瞬きする間に数万件の注文が飛び交う。高頻度取引(HFT)をはじめとするアルゴリズム取引が全売買代金の過半を占める現在、個人が反射神経やスピードだけで勝負を挑むのは自滅行為に等しい。機関投資家のクオンツ部隊が開発したAIが、注文板の僅かな偏りを感知してミリ秒単位で先回りを仕掛けてくるからだ。
だが、アルゴリズムにも明確な癖と盲点が存在する。プログラムが引き起こす過剰なオーバーシュートやフラッシュクラッシュは、狡猾な個人投資家にとって格好の利益の源泉となる。機械がパニックを起こして投げ売られた瞬間を捉え、反発の初動を拾い上げる。構造的な歪みを利用する知性こそが、冷徹なAIの壁を打ち破る武器となる。