臨床の現場においても、このアプローチの変化に対する評価はきわめて高い。日本皮膚科学会の知見に詳しい皮膚科専門医は、「傷口を無闇に乾燥させず、適度な湿潤環境を維持する湿潤療法(モイストヒーリング)は、上皮化を大幅に促進し、瘢痕(はんこん)化を防ぐ最善の手法である」と解説する。
現代のタトゥーシーンを牽引する腕利きの彫師たちも、この皮膚科学的アプローチに全面的に同意している。色素を皮膚の真皮層へ安定して留めつつ、表面の表皮を最小限のダメージで再生させるには、血小板や各種成長因子を豊富に含んだ自らの体液を活用するのが最も効率的だからだ。分厚いかさぶたが生じないことで、引きつれによる激しいかゆみや色抜けのリスクも激減する。医療の知見とストリートカルチャーの技術革新が、今や見事なシナジーを生んでいる。