都内の区役所。マイナンバーと紐づいた自動申請機の前で、高齢の男性が立ち尽くしていた。スマートフォンの画面に表示されたエラーコードは、窓口の職員にも解除できない。「システム上、例外処理は受け付けられません」。職員は申し訳なさそうに繰り返すだけだ。かつてなら「今回だけは」と書類を受理してくれたかもしれないケースでも、システムがそれを阻む。
これが2026年現在の日常だ。民間企業でも同様の事態が頻発している。ECサイトの配送先変更、サブスクリプションの解約、ホテルの予約キャンセル。すべてがチャットボットで完結する便利さの裏で、少しでも標準ルートから外れた要望は「対応不可」の一言で切り捨てられる。現場の裁量権は剥奪され、顧客との摩擦だけが増大しているのが実態だ。