アラル海をめぐる情勢は、国境を接するカザフスタンとウズベキスタンの間で対応と結果が大きく分かれています。北側を管轄するカザフスタン政府は、世界銀行の支援を受けて2005年に全長約13キロメートルの「コカラル堤防(コカラル・ダム)」を建設しました。
この堤防は、シルダリヤ川から流れ込む貴重な水を北側の小アラル海に閉じ込め、南への流出を防ぐ構造になっています。プロジェクトは見事な成果を上げ、小アラル海の水位は約4メートル以上回復し、塩分濃度も大幅に低下しました。放流された淡水魚が定着したことで漁業が奇跡的な復活を遂げ、沿岸の町アラルスクには漁業コミュニティが息を吹き返しています。
対照的に、南側を抱えるウズベキスタン側の大アラル海は、地形の深さとアムダリヤ川の水量不足から水の完全な再充填を事実上断念しています。その代わり、露出した湖底の砂塵嵐を抑えるため、乾燥に強い低木「サクサウール」の大規模植林による砂漠緑化を進めているほか、干上がった旧湖底に眠る天然ガスや石油資源の開発へと舵を切っており、南北でまったく異なる現実が定着しています。