国が尖閣諸島を買い取ったことで、東京都による直接の島嶼購入計画は白紙となりました。そこで最も大きな疑問として残されたのが、「全国から集まった14億円を超える寄付金はどうなったのか?」という点です。
結論から言えば、この寄付金は現在も消滅したわけではなく、東京都が条例に基づいて設立した「東京都尖閣諸島寄附金活用基金」に積み立てられ、厳重に保管されています。2026年時点においても、寄付金は元本を維持したまま残されており、利息等を加えた約14億円以上の残高が存在しています。
なぜこの巨額の資金が使われずに残っているのか。その理由は、基金の使途に関する厳しい条件にあります。寄付金は「尖閣諸島の活用および環境保全等のため」という名目で集められたため、他の一般的な都政の予算に転用することはできません。都はこれまで歴代政権に対し、「島周辺の海洋環境調査や漁業支援、気象観測などの実効支配強化策に基金を活用させてほしい」と国へ働きかけを行ってきました。
しかし、歴代の日本政府は対中配慮や外交摩擦への懸念から尖閣諸島への上陸や現地開発を一切認めておらず、都が独自に現地で大規模な施策を実行することは極めて困難な状態が続いています。そのため、これまでに支出されたのは、都庁や都内施設での尖閣諸島に関するパネル展の開催、啓発冊子の作成・配布、自然環境や歴史に関する情報発信事業など、ごく一部の啓発活動費にとどまっています。寄付者への払い戻しも技術的・法的に極めて難しいため、現在も本格的な使い道をめぐる模索が続いています。