かつて日本の職場や学校において、髪を染めることは「乱れ」の象徴と見なされることが少なくなかった。しかし、ここ数年でその空気感は根底から覆りつつある。背景にあるのは、深刻な人手不足に伴う採用競争力の向上と、多様性を尊重するエンゲージメント経営の浸透だ。
金融機関や航空業界といった、かつては厳しい身だしなみ基準を設けていた伝統的企業でさえ、相次いで髪色自由化へ舵を切った。茶髪どころか、ハイトーンやアクセントカラーを身にまとった社員が窓口や営業現場で堂々と活躍する姿は、もはや珍しくない。社会全体が「見た目の画一性」から「個人の成果と人格」へ、本質的な評価軸を移し替えた現れと言える。