彼女の女優としてのキャリアを語る上で欠かせないのが、ジャンルを選ばない果敢な役柄への挑戦だ。とりわけ、ミステリアスな存在や人間の心理の奥底を揺さぶる複雑なキャラクターにおいて、彼女の演技は異彩を放った。セリフの行間に込められた感情の機微や、わずかな視線の動きだけで視聴者を物語の世界へと引き込む力は本物だった。
特撮ヒーロー作品やSFミステリーなど、一歩間違えれば現実感を失いがちな世界観のなかでも、彼女が画面に入ることで作品全体に重厚なリアリティと美学が宿った。過剰な演出に頼らず、身体性と表情だけで役の背景を物語る手法は、当時の同世代の女優の中でも一頭地を抜いていた。