1990年代から2000年代にかけて、日本のテレビ放送業界は大きな転換期を迎えていた。その象徴とも言える番組が、ビートたけしが司会を務める『ビートたけしのTVタックル』や、関西で圧倒的な視聴率を誇った『たかじんのそこまで言って委員会』といった政治討論バラエティである。これらの番組において、彼女の存在は異彩を放ちすぎていた。
ひな壇に並ぶのは、保守派の男性政治家や言論人ばかり。アウェイという言葉すら甘い過酷な環境下で、彼女はひるむことなくフェミニズムの旗を掲げ続けた。怒鳴り声にかき消されそうになりながらも、鋭いロジックを投げ返す。視聴者はその構図をエンターテインメントとして消費したが、彼女自身は真剣そのものだった。番組側が求める「過激なおばさん」という役割を逆手に取り、電波に乗せてジェンダーの不平等を訴え続ける手法。それはメディアの強権的な構造に対する、危険を孕んだ賭けでもあった。