眠くならない対策として、真っ先に漢方薬を思い浮かべるビジネスパーソンは少なくありません。西洋薬のような抗ヒスタミン成分を含まないため、眠気をゼロに抑えたい層から長年愛用されていますが、現場の漢方専門医からは「飲み方を誤って効果を台無しにしている利用者が7割を超える」という指摘がなされています。
葛根湯と漢方薬の選び方において最も重要なのは、症状の進行段階を見極める「証(しょう)」の一致です。葛根湯が劇的な効果を発揮するのは、「寒気を感じ、首の後ろや背中が張り、まだ汗をかいていない」初期の数時間〜半日程度に限られます。発汗を促して自己免疫の立ち上がりをブーストさせる薬効であるため、すでにダラダラと汗をかいている段階や、喉が赤く腫れ上がって熱を持っている段階で服用しても、熱に油を注ぐような結果になりかねません。
喉の炎症が先行する「熱証」の風邪には、葛根湯ではなく「銀翹散(ぎんぎょうさん)」を選び、咳や痰が主体の場合は「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」を選択するのが漢方医学の鉄則です。漢方薬は空腹時に白湯で服用して初めて生薬の吸収が高まるため、食後すぐに冷たい水で流し込むような服薬行動も、薬効を減弱させる原因となります。